管理牧師 司祭 上田亜樹子
教会では12月24日の夕暮れまでを「アドベント」と呼び、「クリスマスを待って準備をする期間」として過ごします。そして今年は12月24日が日曜日ですので、午前中にはアドベントの暦を用いますが、その日の夕方からクリスマスをお祝いします。そのようなわけで、教会でのクリスマスは、12月25日に終わるのではなく、やっと始まり、1月6日まで、イエスさまのお誕生をお祝いします。
「アドベントクランツ」
聖卓の脇で、紫とピンクとそして白いろうそくが、クリスマスを待っています。上記のようにアドベントには、主に、紫色のろうそくを、日曜日ごとに1本ずつ加えて灯していきますが、3番目の日曜日だけ、「マリアさんの日曜日」ということでピンクのろうそくを灯します。4本が全部そろったら、クリスマスが来た知らせとして、真ん中の白いろうそくに火を灯します。
現代では多くの人が、大切な事を伝える手段として、文字を用いますが、昔はほんの一握りでした。そんな事情から、ステンドグラスや教会の祭色、鐘の音やオルガン音楽など、目で見て、耳で聞いて、「わかる」方法が発達しました。「アドベントクランツ」も、わたしたちと一緒に、クリスマスを待っているようです。
「クリスマスプレゼント」
クリスマスと言えば、すぐ思い浮かぶのは、「どんなプレゼントをもらうか」「誰にプレゼントを用意しようか」ということかもしれません。クリスマスに、プレゼントを贈り合う習慣がいつ始まったのか、その起源は諸説ありますが、いずれにしても、自分が満足するためのプレゼントではなく、地上に住むすべての人々、ことにイエスさまが心を寄せられるであろう、生きることに困難を覚えている人々を覚えるための「プレゼント」でもあります。
それは、食べればやがて尽きる食糧ではなく、土地の所有権を他者から奪う力ではなく、世界を支配する財力でもなく、「平和の君」として、この世に来られたイエスさまにならう生き方を、もう一度みんなで思い起こし、小さな自分にできることを探す祈りであるかもしれません。
そんな背景があって、教会では特別に「クリスマス献金」をお捧げする習慣があります。献金は「しなければならないもの」ではありませんし、手ぶらで礼拝に参加されることも大歓迎です。もし、お気持ちがあれば、12月24日の昼間か夜の礼拝に「クリスマス献金袋」をお持ちになり、そっとそのまま献金箱へ各自でお入れください。
世界の悲惨なニュースを聞くと、知らない方が良かったと思うこともあります。でも辛いからと耳を塞ぐのではなく、わたしたちが持っているものを、助けを必要としている人々と、少しずつ分かち合うように、神さまは語りかけているのではないでしょうか。それは、品物やお金とは限らず、小さな助けや痛みに寄り添う思いやり、明日への希望を一緒に分かち合う心なのかもしれません。
神さまは、一番大事なイエスさまを、わたしたちと分かち合ってくださいました。わたしたちがどんなに大切されているか、心に留めることこそ、本当のクリスマスなのでしょう。神さまの慈しみとやさしさがあなたをつつみ、心あたたかなクリスマスがやって来ますように!